自覚症状がほとんどないまま進行する歯周病。でも、大丈夫。簡単に見つけられる検査があります。それが歯周ポケット測定検査。20~30代は年1回、40代になったら、半年に1度はチェックしましょう。

歯周ポケットの深さを測るプロービング

歯周病は、歯と歯肉の境目にあるすき間、歯周ポケットの深さで診断します。深さが3mmを超えたら要注意。4mm以上に達していたら歯周病です。

検査は、「ポケットプローブ」と呼ばれる目盛りのついた探針を使います。

歯と歯肉の狭いすき問に針を入れるなんて痛そうに感じるかもしれませんが、実際には、炎症がない限り、痛みはほとんどありません。歯ぐきが腫れ
ていたり、赤くなっている症状などかおる場合は多少痛みを伴います。

プローブによる検査は、歯1本につき、周囲4~6ヵ所で行います。それぞれの場所で、歯周ポケットの深さを測定すると同時に、ポケット底部からの出血の有無も確認します。

出血があった場合は、歯肉縁下歯石やプラークかたよっていると考えられるので、歯石除去と歯磨きを徹底するよう指導されるでしょう。

歯周ポケットの深さが4mm以上に達していた場合は、ポケット内に細菌がたくさんいますから、ポケット内の歯石をとるなど本格的な歯周病治療が必
要になります。

歯周病のなりやすさには、生活習慣も関係します。もっとも危険とされているのが喫煙と糖尿病。また、歯周病は心臓病など全身性の病気を悪化させる恐れも指摘されているのです。

若いからと油断は禁物歯周病は20代から急増

歯周病がおじさんの病気だと考えるのは、間違いです。

歯周病は、歯と歯肉の境目にあるすき間、歯周ポケットが4mm以上に達した場合をいいます。『平成11年歯科疾患実態調査/厚生労働省』によると、歯周ポケットが4㎜以上、6mm未満の人は、25~34歳で約20%もいます。35~44歳では約26%、45~54歳で約33%と、年齢が上がるにつれ、右肩上がりになっています。

歯の喪失は主に歯周病が原因です。同じ調査による『1人平均喪失歯数の年次推移』によると、50代では4本、60代では8本の歯を喪失しています。

厚生労働省は、80歳で歯を20本残すことを目標にした「8020(ハチマルニイマル)運動」を行っていますが、このままでは「20本」残すのは相当難しいといわれています。

喫煙は歯肉の抵抗力を低下させる

歯周病は生活習慣が深く関係した病気です。現在、歯周病との因果関係がはっきりわかっているのは、喫煙と糖尿病です。

タバコを吸うと、歯肉の血行が悪くなります。その結果、歯肉の細菌に対する抵抗力が低下して、歯周病菌に冒されやすくなるのです。

一方、糖尿病は、血糖値の高い状態が続くために、全身の血管がもろくなり、抵抗力が落ちる病気です。歯肉の血管も例外ではなく、糖尿病をもっている人は歯周病菌に冒されやすく、また重症化しやすいことが知られています。逆に、歯周病を治すことで、糖尿病の悪化が抑えられることもわかってきました。

最近は、歯周病だと将来、心臓病にかかるリスクが高くなるという研究報告も出てきています。歯周病は歯だけの問題ではなく、全身病なのです。

不規則な生活や不摂生、過度なストレス、歯をぎゅっとかみしめるクセなども歯周病の発症や悪化に関係するといわれています。

女性ホルモンの影響で増える歯周病菌もある

もうひとつ、とくに女性に知っておいてほしいのが、歯周病と女性ホルモンの関係です。

歯周病菌の中でもプレボテラーインターメディアやプレボテラーネグレッセンスと呼ばれるものは、じつは女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンが増えると、増加する傾向があるのです。

女性ホルモンの働きが活発になる妊娠中に起こる「妊娠性エリープス」と呼ばれる歯肉炎は、この歯周病菌によるもの。歯肉がぶよぶよに腫れ、歯ブラシがちょっと当たっただけでも出血することから、すぐおかしいと気づくはずです。

もともとは、歯磨きを怠ったために

歯の表面にプラークがつき、それが元で起こってきた歯肉炎ですが、悪化因子として、女性ホルモンが関係してくるのです。

妊娠中に歯周病にかかると、早産になったり、低体重児が生まれるリスクが高まることもわかっています。妊娠中は歯の治療を受けないほうがいいというのは俗説に過ぎません。歯肉の腫れなどに気づいた場合は、安定期に歯科医院で治療を受けましよう。

歯周病は歯を支える組織や骨を破壊する

歯と歯肉の境目には、だれでも0.5~2mm程度のすき間があります。このすき問を歯周ポケットといいます。

歯周病は、この歯周ポケットにプラーク(歯垢)や歯石がたまって深くなり、中で炎症が起きた状態です。

歯磨きを怠るなどして、歯の表面にプラークがついたままにしておくと、プラークは唾液中のカルシウムなどと反応して石灰化し、硬い歯石になります。歯石は普通に歯磨きしただけではとれません。歯石をとらずに放っておくと、歯石の上にさらにプラークがつきやすくなり、歯石はたまっていくいっぱうです。

深さ3mm以上に達した歯周ポケットの奥にはさらに、歯肉からにじみ出た血の中の血清成分が石灰化した歯肉縁下歯石という悪玉歯石ができます。歯肉の中にもぐりこんだ歯肉縁下プラークも、つきやすくなります。

歯肉縁下歯石は、通常の目に見える部分につく歯石とは道い、緑色や黒褐色をしていて、超悪玉菌の歯周病菌がすみつきやすいのです。

歯周病を悪化させる真犯人が、じつはこれら歯肉縁下歯石と歯肉縁下プラーク。歯肉組下歯石の中にいる超悪玉菌は酸素を嫌うため、歯周ポケットの奥へ奥へと進行し、歯を支える骨、歯槽骨を破壊してしまうからです。支えを失った歯はグラグラし始め、ついに
は抜け落ちてしまう運命にあります。

初期の歯肉炎のうちに治療を始めるのがコツ

歯周病は歯肉が赤くなって腫れる歯肉炎から始まります。プラークや、目に見える部分に、白っぽい歯石がたまった状態です。歯肉炎は歯肉の炎症のみで骨は失われていません。

この段階では、歯周ポケットの深さは通常、2~3mm。歯磨きを徹底すれば治っていきます。歯ブラシを当てると出血して、痛みますが、きちんと磨くうちに治まってきます。ところが、歯肉炎を放置すると、歯周病へと進行し、ちょつと硬いものを食ぺただけでも歯肉から出血するようになります。このあたりから、歯周病菌による歯槽骨の破壊も始まります。

さらに進むと、歯周病が慢性化して、歯周ポケットからウミが出る、いわゆる歯槽膿漏へと発展。歯槽膿漏は進行した重度歯周病のことです。歯はグラつき、硬いものが食ぺられなくなって、始終、口が臭うようになります。さらに進んだ人の歯をレントゲンで撮ると、歯の根を支えられるだけの歯槽骨がなくなっています。こうなると、歯を残す治療自体が困難になってしまいます。

歯周病は自覚症状がほとんどないまま進行するのが、虫歯と違うところ。歯肉が赤くなって腫れる歯肉炎のうちに対処することが大切なのです。

歯周病の進み方

健康な歯周組織歯周ポケットの深さは0.5~2mm。歯肉は引き締まっている。

①歯肉炎

歯と歯肉の境目にプラークがたまり始めた状態。歯肉が赤く腫れ、出血しやすくなる。歯周ポケットの深さは2~3同程度。歯槽骨はまだ破壊されていない。

②軽度歯周病

歯周ポケットは深さ3~5mmに。歯肉の腫れが大きくなり、歯周病菌が歯根膜や歯槽骨を破壊し始める。

③中等度歯周病

歯周ポケットの深さは4~7mmに。歯周ポケット内の炎症が広がり、歯槽骨の破壊が、歯の根の長さの半分近くまで進行。歯がグラついたり、ウミが出ることも。

④重度歯周病

いわゆる歯槽膿漏と呼ばれる状態。歯周ポケットの深さは6m以上に。歯槽骨が歯の根の半分以上破壊され、歯はグラグラに。かみ合わせも悪くなっている。